2020年09月04日

今週の注目疾患   2020年 35週(2020/8/24~2020/8/30)
【今週の注目疾患】

【アメーバ赤痢 】
 2020年第35週に県内医療機関から2例のアメーバ赤痢の届出があり、2020年の累計は第35週までで24例となった。
アメーバ赤痢は原虫のEntamoeba histolyticaによる感染症であり、感染者の糞便に排出された嚢子(シスト)を直接的、もしくは水や食べ物を介して経口的に感染する。
そのため、性的接触によるものや海外渡航者の症例が多い。
感染者のうち10~20%が発症し、シストは小腸で脱嚢して栄養型となり、大腸粘膜面に潰瘍等の病変を起こす。
病型として粘血便、下痢、テネスムス(便意があるが排便がない)、腹痛などの症状を起こす腸管アメーバ症、栄養型が血行性に肝臓、肺、脳や皮膚などに転移して膿瘍を形成し、重篤な症状を呈する腸管外アメーバ症がある。
 2010年以降に県内医療機関から届け出られた534例について、性別は男性が463例(86.7%)となっている。
年齢分布は、男性の年齢中央値は51歳(四分位範囲:42~62歳)、女性の年齢中央値は46歳(四分位範囲:36~61歳)であった。
 病型別では腸管アメーバ症477例、腸管外アメーバ症46例、腸管および腸管外アメーバ症11例であった。
 性的接触を感性経路とする届出のうち、異性間もしくは同性間の記載のあるものについて、男性は異性間性的接触59例、同性間性的接触25例であった。
女性では異性間性的接触11例、同性間性的接触1例であった。
性感染症対策として患者発生時の他の性感染症の罹患の有無の確認、患者パートナーの確認や無症状シストキャリアの治療など、総合的な性感染症対策の実施が重要であり、また衛生環境の整っていない海外への渡航の際は、生水、生肉や生野菜からの感染に注意し、経口感染を防ぐために手指衛生を徹底することが大切である。

引用・参考
国立感染症研究所:感染症法に基づくアメーバ赤痢の届出状況、2014年~2019年(2020年6月3日時点報告分)
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和2(2020)年9月2日更新)