2019年11月01日

今週の注目疾患   令和元年・第 43 週(2019/10/21~2019/10/27)

【梅毒】
2019年第43週に県内医療機関から2例の梅毒の届出があり、2019年(第1~43週)の累計は 120例となった。
県内における梅毒の届出は、2016年以降年間140~163例の届出があり、2019 年もこれらの年と同程度のペースで届出が続いている。
近年の梅毒届出数の増加を受け、梅毒の発生動向をより詳細に把握するため、2019年1月1 日から以下の情報が届出事項として追加されている。 l
・性風俗の従事歴
・利用歴の有無
・口腔咽頭病変
・妊娠の有無
・過去の感染歴(治療歴) l
HIV感染症の合併の有無 普及啓発等の対象群の把握や先天梅毒の発生予防のため、届出の際には、これらの項目について記入漏れがないようお願いしたい。
近年、男性は20代~60代の幅広い年齢群で届出の増加を認め、女性は20代の届出の増加が 顕著となっている。
全国では、2019年第1週から第26週までに女性の梅毒症例が1117例届け出られており、妊 娠に関する記述の含まれた症例は888例、うち、妊娠ありとされた症例は106例(妊娠に関する記述のある症例の12%)であったと報告されている。
また、2019年第2四半期時点において、 9例の先天梅毒症例が届出られている。
妊娠症例は性風俗産業従事歴のない20代後半から30 代前半の女性が多く、感染源が男性パートナーである可能性が示唆されており、無症状の症 例が7割以上を占めることから、妊婦健診が有効に機能していると考えられたが、26%は20週 以降に診断されている症例と報告されている。
千葉県でも2019年に妊娠ありとされた届出を 認めており、梅毒は、妊婦が感染すると流産、死産のリスクのほか、児が出生した場合も低 出生体重、先天梅毒のリスクがあるが、梅毒の母子感染は早期発見と適切な治療を行うことで防ぐことができる。
梅毒の感染連鎖を防ぐため、感染が疑われる症状がみられた場合には、 早期に医師の診断・治療を受け、必要に応じてパートナーに対しても教育・啓発、検査等を 実施する必要がある。
リスクの高い集団に対してのみならず、広く梅毒について啓発をしていく必要がある。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和元年10月30日更新)