2018年09月07日

今週の注目疾患   平成30年・35週(2018/8/27~2018/9/2)

【腸管出血性大腸菌感染症】
2018年第35週に県内医療機関から11例の腸管出血性大腸菌感染症の届出があり、2018年の累計は169例となった。腸管出血性大腸菌感染症は、例年秋口からその発生は少なくなるが、依然として週当たり10例を超す届出が続いており、食品の衛生対策、発生時の二次感染防止策の徹底を図る必要がある。

169例のO血清群・ベロ毒素型は、O157・VT1VT2(30例)、O157・VT2(39例)、O157・VT型不明(6例)、O26・VT1VT2(1例)、O26・VT1(16例)、O26・VT2(1例)、O103・VT1(52例)、O111・VT1(2例)、O121・VT2(7例)等であった。特に、第33週以降はO157・VT1VT2による患者が多く届け出られている。

腸管出血性大腸菌感染症は、無症状から溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome, HUS)を続発して致命的となるなど様々な病態をとりうるが、典型例では3~5日の潜伏期をおいて、激しい腹痛をともなう頻回の水様便の後に血便がでる。また37~38℃台の熱や嘔吐を伴うこともある。HUS、または脳症などの重症な合併症が続くことがあり、HUSを発症した患者の致命率は1~5%とされている。手洗いの励行といった基本的な衛生対策、食品の調理時における野菜類の十分な洗浄、肉類の十分な加熱や既知の感染リスクである生肉の喫食を避ける、調理器具類の洗浄、殺菌など交差汚染に対する注意が腸管出血性大腸菌感染症の感染予防に重要である。

【インフルエンザ】
インフルエンザのサーベイランスは、2018年第35週をもって2017/18シーズンが終了となり、来週より2018/19シーズンとしてサーベイランスを実施する。県内において2017/18シーズンは、2018年第5週に現行のサーベイランスが開始されて以降、週当たりの定点当たり報告数としては最も多い63.98(人)を記録するなど、多くの患者発生報告を認めた。また、2017/18シーズンはB型インフルエンザウイルスによる患者の割合が高く、例年とは異なる傾向にあった。現在、南半球においてインフルエンザの発生が見られる季節である。南アメリカではピークを過ぎ患者減少が見られる国、まだ増加傾向にある国など様々であり、インフルエンザA(H1N1)pdm09が主、その他インフルエンザA(H3N2)も検出されている。アフリカ南部ではピークは過ぎたが、インフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されたウイルスの大半であった。オーストラリア、ニュージーランド、オセアニア地域ではインフルエンザA(H1N1)pdm09が主であるが、前年と比較し、発生は非常に少なくなっている。2017/18シーズンは、その年(2017年)の南半球におけるB型インフルエンザの大きな流行そのままに、北半球の日本を含む東アジア、また欧州の一部でもB型インフルエンザウイルスによる患者が非常に多く報告された。現時点の南半球において、昨年のようなB型インフルエンザウイルスの活発な活動は認められていない。2018/19シーズンのインフルエンザ発生動向に関して注視していく。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(平成30年9月5日更新)