今週の注目疾患   2021年 37週(2021/9/13~2021/9/19)
【今週の注目疾患】

≪東京オリンピック・パラリンピック競技大会強化サーベイランス≫

(概要)
 東京オリンピック競技大会が 2021 年 7 月 23 日から 8 月 8 日まで、東京パラリンピック競技大会が 8 月 24 日から 9 月 5 日まで開催された。
オリンピックでは 205 の国と地域から約 11,000 人が、パラリンピックでは 162 の国と地域から約 4,400 人が訪日した。
本県では幕張メッセ(千葉市)と釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ(長生郡一宮町)が競技会場となり、県内の複数の自治体では事前キャンプの受け入れや関係者の宿泊等が実施された。

 県では、令和 3 年 6 月 29 日付け厚生労働省健康局結核感染症課・新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡1)に基づき、7 月 1 日から 9 月 19 日まで東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に係る強化サーベイランスを実施した。
強化サーベイランスは主に感染症発生動向調査システム(NESID)の徹底と疑似症サーベイランスの取組強化、自治体間の情報共有及び感染症発生時の関係者間の連絡・協力体制の確保に重点を置き、その他の症候群サーベイランスや EBS(Event-based-surveillance)等の実施は必須としなかった。
対象疾患は新型コロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群(MERS)、侵襲性髄膜炎菌感染症、腸管出血性大腸菌感染症、麻しん、風しん及び疑似症(感染症法第 14 条第 1 項に規定する原因不明の重症感染症)とした。
新型コロナウイルス感染症については、連日 HER-SYS により患者情報が収集され、県疾病対策課にて発生状況が公表されている。
その他の対象疾患については、当日午後 3 時までに県内保健所が NESID に報告したものを県感染症情報センターにて集計し、日報形式で関係者へ共有をはかった。
また、発生報告がなかった日についても何もないことの確認および周知の目的で日報の共有を実施した。
疑似症についても同様に、NESID のサブシステムである汎用サーベイランスシステムを用いて確認した。

(結果)
 対象疾患のうち腸管出血性大腸菌感染症が 47 例、疑似症が 1 例報告された。いずれも東京オリ
ンピック・パラリンピック競技大会の関係者とみられる症例は確認されず、過去 5 年間と比較し
て異常集積等は認められなかった(表1)。中東呼吸器症候群(MERS)、侵襲性髄膜炎菌感染症、
麻しん、風しんの報告はなかった。また、令和 3 年 6 月 23 日付け「東京オリンピック・パラリ
ンピック競技大会に向けての感染症のリスク評価(更新版)2)」(以下、リスク評価)において、
対策を行ううえで注意を要する感染症として挙げられたその他の感染症についても、過去 5 年間
と比較して異常集積等は認められなかった(表2)。なお、期間中に輸入感染症と思われるデング
熱が 2 例報告されたが、いずれも海外(流行地)への渡航歴がある者からの届出であり、更なる
感染の拡大は見られていない。

 WHO では一定期間、限定された地域において同一目的で集合した多人数の集団をマスギャザ
リングと定義している。オリンピック・パラリンピック競技大会のようなマスギャザリングイントの場合、多数の訪日外国人の流入や日本人・外国人の国内移動の増加により、県内の感染症
発生動向が変化する可能性が考えられる。また、千葉県は成田空港を有しており、海外からの感
染症等の輸入リスクも高いことから、今後同様の性質を有するマスギャザリングイベントの開催
時等には、事前のリスク評価に基づいたサーベイランスと対応強化の検討が必要になると考えら
れる。

■参考
1)東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う感染症サーベイランスの取組強化について
(令和 3 年 6 月 2 9 日 厚 生 労 働 省 健 康 局 結 核 感 染 症 課 ・ 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症 対 策 推 進 本 部 事 務 連 絡 )
2)「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての感染症のリスク評価(更新版)
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年9月22日更新)