今週の注目疾患   2021年 39週(2021/9/27~2021/10/3)
【今週の注目疾患】

≪梅毒≫

 2021 年第 39 週に県内の医療機関より梅毒の報告が 4 例あり、2021 年の累積届出数は 160 例となった。
昨年の同時期に比べ約 1.7 倍の届出数(2020 年第 39 週累積届出数 96 例)であり、過去 5 年間で最多となっている。
性別では男性 103 例(64%)、女性 56 例(35%)、その他1 例(1%)であった。
年代別では、男性は 20 代 28 例(27%)、30 代 23 例(22%)、40 代 22 例(21%)の年代で多かった。
女性は20代が29例(52%)と半数以上を占めており、30代9例(16%)、40 代 7 例(13%)、10 代 5 例(9%)であった。

 病期別では、男性は早期顕症梅毒第Ⅰ期(以下、第Ⅰ期)が 44 例(43%)と最も多く、次いで早期顕症梅毒第Ⅱ期(以下、第Ⅱ期)が 33 例(32%)であった。
一方、女性では第Ⅱ期が 24 例(43%)、無症状病原体保有者が 23 例(41%)であり、第Ⅰ期で発見された患者は 7 例(13%)
にとどまった。
なお、2021 年においては、これまでのところ先天梅毒の症例は報告されていない。

 2012 年以降、梅毒患者は急増傾向にあり、特に女性は 2012 年に年間 5 例だったが、2021 年は第 39 週までに 56 例と 10 倍以上に増加している。
年代別の増加傾向には性差があり、男性は幅広い年代で増加がみられるが、女性は 20 代の増加が顕著である。

 梅毒の病原体は螺旋状菌の梅毒トレポネーマである。
本菌は低酸素状態でしか長く生存できないため、主な感染経路は菌を排出している感染者(主に感染力の強い第Ⅰ期、第Ⅱ期の患者)との粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものである1)。

 感染後3~6週間の潜伏期間を経て、継時的に様々な臨床症状が逐次出現する。
第Ⅰ期:感染約3週間後に梅毒トレポネーマの感染部位に初期硬結、潰瘍が形成される。
無痛性の所属リンパ節腫脹を伴うことがある。
無治療でも数週間で軽快する。
第Ⅱ期:第Ⅰ期の症状消失後、4~10週間の潜伏期間を経て、全身に皮疹、粘膜疹、脱毛、発熱・倦怠感の全身症状等多彩な症状を呈する。
無治療でも数週間で軽快する。
潜伏梅毒:梅毒血清反応陽性で顕性症状が認められないものをさす。
第Ⅰ期と第Ⅱ期の間、第Ⅱ期の症状消失後を主にさす。
晩期顕症梅毒:無治療で経過した者のうち、約3分の1で起こる。
ゴム腫、進行性の大動脈拡張を主体とする心血管梅毒、進行麻痺に代表される神経梅毒に進展する。
先天梅毒:梅毒に罹患している母体から胎盤を通じて胎児に伝播される多臓器感染症1)。

 予防方法は、感染者との性器や口腔、肛門を接触させる性行為や疑似性行為を避けることが基本である2)。
コンドームの使用は完全ではないものの予防効果があることが示唆されている1)。
 治療は早期に薬物治療を開始することが重要となる。
特に女性では、第Ⅰ期の報告割合が少なく、早期発見されていない可能性が考えられるため、異変を感じた場合や心配なことがある場合には早めに検査を受け、早期発見・早期治療に繋げることが重要である。
県では、匿名で無料の検査を受けることができる3)。
また、梅毒は再感染をする可能性があるため、パートナーも共に検査をうけることが推奨される。

■参考
1)国立感染症研究所:梅毒とは
>>詳細はこちら
2)千葉県:梅毒患者が増えています
>>詳細はこちら
3)千葉県:梅毒の検査情報
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年10月6日更新)