2021年02月19日

今週の注目疾患   2021年 6週(2021/2/8~2021/2/14)
【今週の注目疾患】

【梅毒】
 2021 年第 6 週に県内医療機関から 2 例の梅毒の届出があり、2021 年の第 6 週までの累計は 18 例となった。
県内における梅毒の届出は、2016 年以降は年間 150 例前後で推移し、2020 年は 152 例の届出を認めた。
新型コロナウイルス感染症の発生下で多くの疾患の発生が低調に推移するなか、梅毒は例年並みの届出数となっている。
 2020 年に届け出られた 152 例(男性 100 例、女性 52 例)について、性別と年齢群は近年の傾向と同様であり、男性は 20 代~50 代と幅広く認め、女性は 20 代が多かった。
2015 年以来となる先天梅毒の届出も 2 例認め、また、女性 52 例のうち最低でも 9 例が妊婦であり、7 例が妊娠初期、1 例が妊娠中期、1 例が妊娠末期の診断例であった。
 梅毒は早期の薬物治療で完治が可能であり、早期に医師の診断・治療を受ける必要がある。
コンドームの不適切な使用によるリスクの上昇や、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、パートナーの検診、妊婦検診や受診時の啓発により妊娠中の梅毒感染の予防と妊婦梅毒の早期診断に繋げることが重要である。

<梅毒の症状>
・早期顕症梅毒(1期:感染後約 3 週間):
梅毒トレポネーマが進入した局所(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりや潰瘍が形成される。
鼠径部のリンパ節が腫れることもある。
無治療でも数週間で軽快するが、梅毒トレポネーマは体内から消失したわけではない。
・早期顕症梅毒(2期:感染後数ヶ月):
無治療のまま経過すると、梅毒トレポネーマは血行性に全身に移行し、手のひらや足の裏を含む全身に発疹が出現することがある。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合があるが、再発を繰り返すこともある。
ここでも抗菌薬で治療しない限り、梅毒トレポネーマは体内に残る。
・晩期顕症梅毒 :
さらに無治療のまま経過すると、数年~数十年後の潜伏期間を経て、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)の発生や、心臓、血管や脳などの複数の臓器に病変が出現することがある。
・先天梅毒:
妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがある。
早期先天梅毒と無治療の場合に 1 年以上の経過を経て発症する晩期先天梅毒に分けられ、先天梅毒の児の約 60%は出生時無症状といわれているが、多くの症例は 3 か月以内に症状が出現すると言われている。
早期先天梅毒では肝脾腫、皮膚病変(水疱疹、斑点状丘疹)、全身性リンパ節腫大、骨軟骨炎、鼻炎、肝機能障害、低血糖、溶血性貧血、血小板減少や中枢神経症状といった症状を認め、晩期先天梅毒は鼻・硬口蓋・各臓器・骨などのゴム腫様潰瘍、Hutchinson 歯(半月状の上顎切歯)、実質性角膜炎や内耳性難聴などの症状を認める。

参考・引用
厚生労働省:梅毒に関する Q&A
 >>詳細はこちら
国立感染症研究所:梅毒とは
 >>詳細はこちら
国立感染症研究所:先天梅毒の届出に関する手引き
 >>詳細はこちら


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年2月17日更新)