2023年07月07日

2023年 第26週
(令和5年6月26日~令和5年7月2日)

【今週の注目疾患】
■急性脳炎
 2023年第26週に県内医療機関から急性脳炎の届出が3例あり、2023年の累計は34例となった。
急性脳炎の届出は通年認めるが、2023年6月には14例が診断され、診断月別の患者報告数としては2019年以降では冬季を除いて最も多い報告数となっている。
2023年に診断され届出された34例のうち、発生届における病原体の記載としては、ヒトパレコウイルスが6例(18%)、インフルエンザウイルスAが5例(15%)、SARS-CoV-2が2例(6%)、単純ヘルペスウイルスが2例(6%)、水痘帯状疱疹ウイルスが1例(3%)、その他(具体的な病原体名の記載なし)が1例(3%)、病原体不明が17例(50%)であった。

 2019年以降に届出のあった248例について、患者年齢は1歳が49例(20%)と最も多く、次いで2歳が29例(12%)、0歳が26例(10%)であり、14歳以下の症例が全体の85%を占めた。
2023年は0歳児が11例であり、2019年以降の0歳児の報告数の約4割を占め最多であった。

 2023年に県内医療機関から病原体としてヒトパレコウイルスと報告のあった6例全例が生後3か月未満の乳児であり、6月に発症し診断されていた。
6例中4例分の検体が当所に搬入され、3例からヒトパレコウイルス3型が検出され、残り1例は検査中である。
ヒトパレコウイルス3型は、夏季を中心に流行し、生後3か月未満の乳児の敗血症や脳炎の原因となり重症化することがあるという報告がある1)。
典型的な臨床所見は、高熱、高度な頻脈、活気不良、哺乳不良などを呈する。
四肢を中心に網状チアノーゼが出現し、腹部膨満や臍突出が見られることがある。
また、発疹を伴い、手掌や足が紅潮する所見も特徴的である2)。
ヒトパレコウイルス3型の感染経路は家族からの伝播が多く、特に感冒症状や筋肉痛のある家族との接触によるものが多いとされているが、不明であることも多い。
不顕性感染の成人や年長児からの伝播の可能性もあると考えられており1)、新生児や早期乳児のいる家庭では注意を要する。

 急性脳炎サーベイランスは、新興感染症やバイオテロ関連疾患を含む不明疾患の早期把握の必要性から2003年の感染症法改正で基幹定点報告から全数把握疾患に変更された3)。
また、昨年には県内で当初急性脳炎として届出され、病原体探索等を行い日本脳炎の診断に至った事例があり4)、症例の集積の把握や病原体探索は、治療や拡大予防策、予防接種等を考える上で重要である。
■参考・引用
1)ヒトパレコウイルス 3 型が検出された新生児・早期乳児の 10 例-関東
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2)ヒトパレコウイルス感染症. 臨床と微生物 46: 697-702, 2019
3)急性脳炎 2007~2018 年
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4)千葉県における病原体不明の急性脳炎症例から探知された日本脳炎患者について
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■ヘルパンギーナ
 2023 年第 26 週に県内の小児科定点医療機関から報告されたヘルパンギーナの定点当たり報告数は 7.63(人)となった。
地域別では、県下 16 保健所中 10 保健所管内(野田、柏市、松戸、市川、船橋市、習志野、千葉市、印旛、海匝、君津)で定点当たり報告数が警報レベル(開始基準値:6.0、終息基準値:2.0)にあり、全県的な流行が見られている。
特に報告数が多かった地域は、船橋市(11.5)、海匝(10.5)、千葉市(10.0)保健所管内であった。

【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2023年第26週の県全体の定点当たり報告数は、前週の7.77人から増加し9.89人であった。
定点把握開始となった2023年第19週以降、県内の定点当たり報告数は増加傾向にある。
県内16保健所中14保健所管内で前週より定点当たり報告数が増加した。

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年7月5日更新)