2023年07月14日
2023年 第27週
(令和5年7月3日～令和5年7月9日）
【今週の注目疾患】
■梅毒
2023年第27週に県内医療機関から梅毒の届出が8例あり、2023年の累積届出数は231例となった。
2022年は1999年の現行感染症サーベイランス開始以降過去最多となる年間337例の届出があったが、2023年は昨年同時期（2022年第27週）時点の累積届出数（153例）と比較して約1.5倍となっており、2021年の年間届出数235例に迫る勢いである。
本年の届出例231例のうち、性別では男性158例（68％）、女性73例（32％）で男性が多かった。
年代別では、男性では40代が45例（28％）で最も多く、次いで30代が41例（26％）、20代が34例（22％）、50代が25例（16％）と続き、女性では20代が35例（48％）で約半数を占め、次いで10代が14例（19％）、30代が11例（15％）と続いた。
病型別では、男性では早期顕症梅毒第Ⅰ期（以下、第Ⅰ期）が最も多く 82 例（52％）、次いで早期顕症梅毒第Ⅱ期（以下、第Ⅱ期）が46例（29%）であった。
一方、女性では無症状病原体保有者が最も多く30例（41％）、次いで第Ⅰ期が27例（37％）、第Ⅱ期が15例（21％）であった。
2019年以降、男性では第Ⅰ期・第Ⅱ期の早期顕症梅毒の占める割合が年々上昇しており、女性においても昨年より減少しているものの、早期顕症梅毒の割合は徐々に増加傾向にある。
早期顕症梅毒は最近感染したことを示し、最も感染力が高い病型とされている1)ため、注意が必要である。
2023年第1週～第27週までに診断された先天梅毒は1例であり、現時点で過去の同時点と比べて増加傾向は見られていない。
梅毒は梅毒トレポネーマ（Treponema pallidum）によって引き起こされる細菌性の感染症である。
感染経路は菌を排出している感染者との性器や肛門、口腔などの粘膜の接触を伴う性行為や疑似性行為によるものである。
予防としては、これら感染者との性行為や疑似性行為を避けることが基本となるが、病変の存在に気づかない場合もあるため、性交渉の際にはコンドームを適切に使用することが感染リスクの低減につながる。
また不特定多数の人との性的接触は感染リスクを高めることから回避することが望ましい2)-4)。
梅毒は適切な治療を受けることで完治可能な疾患である。
早期発見・早期治療が重要であり、再感染を予防するため、パートナーもともに検査を受けることが推奨される。
県では保健所において無料・匿名の検査を実施しているとともに、休日街頭検査や（公財）ちば県民保健予防財団への委託による検査を実施している。
感染が気になる方や不安なことがある場合には、活用されたい。
なお、最新の検査実施状況については、県ホームページ等でご確認いただきたい5)。
■引用・参考
1)国立感染症研究所：IDWR2022年第42号＜注目すべき感染症＞梅毒
>>詳細はこちら
2)国立感染症研究所：梅毒とは
>>詳細はこちら
3)厚生労働省：梅毒に関する Q&A
>>詳細はこちら
4)一般社団法人日本感染症学会：梅毒（Syphilis）
>>詳細はこちら
5)千葉県：千葉県内のエイズ等相談・検査
>>詳細はこちら
【新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の発生状況】
2023年第27週の県全体の定点当たり報告数は、前週の9.89人から増加し11.00人であった。
定点観測開始となった2023年第19週以降、県内の定点当たり報告数は継続して増加傾向にある。
県内16保健所中12保健所管内（柏市、松戸、市川、船橋市、習志野、印旛、香取、海匝、山武、長生、君津、市原）で定点当たり報告数が10.0人超となった。
【千葉県感染症情報センターより参照】
（令和5(2023)年7月12日更新）