2021年05月28日

今週の注目疾患   2021年 20週(2021/5/17~2021/5/23)
【今週の注目疾患】

【RS ウイルス感染症】
 2021 年 20 週に定点医療機関から報告された RS ウイルス感染症の定点当たりの報告数は前週の 0.04(人)から増加し、定点当たり 0.12(人)となった。
症例 15 例のうち、性別では男性が 8 例/15 例(53%)で女性とほぼ同数で、年齢群別では 3 歳以下が 14 例/15 例(93%)で大部分を占めており、そのうち 1 歳が 7 例(47%)と最も多く、次いで 2 歳が 4 例(27%)、3 歳が 2 例(13%)、0 歳が 1 例(7%)であった。
 保健所管内では船橋市(定点当たり 0.45)、習志野(定点当たり 0.20)、市川(定点当たり 0.20)が報告の多い上位 3 保健所管内となっている。
 国の報告 1)によると、RS ウイルス感染症は 2020 年の 9 月から年末までの定点当たり報告数は、低いレベルであるものの徐々に増加し、2021 年第 2 週(1 月 11~17 日)以降は、第 11 週を除いて継続して増加し、第 13 週(3 月 29 日~4 月 4 日)の定点当たり報告数は 0.74 と、2018 年以降で最も高くなっていた。
 主に九州や関西地方など西日本で多い傾向が見られており、2021 年第 11 週~第 13 週までの報告数上位 5 位の都道府県(いずれも九州)における週毎の定点当たり報告数は 3.3~6.8 と高いレベルで推移していた。
 本県において、これらの地域と同様の流行はまだ見られていないものの、今後の発生動向を十分注視していく必要がある。

〇RS ウイルス感染症:
 RS ウイルス感染症は、RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)を病原体とする乳幼児に多く認められる急性呼吸器感染症である。
感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染が主なものである。
特に、家庭内では、飛沫感染、接触感染を介して、RS ウイルスが伝播しやすいことも報告されている。
早産で新生児や生後 6 カ月以内の乳児、月齢 24 カ月以内で免疫不全を伴う、あるいは血流異常を伴う先天性心疾患や肺の基礎疾患を有する、あるいはダウン症候群の児は重症化しやすい傾向がある。
さらに、慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者における RS ウイルス感染症では、肺炎の合併が認められることも明らかになっている。
 これらハイリスク者が家庭内に存在する場合、罹患により重症となる可能性があるため、適切な飛沫感染や接触感染に対する感染予防策を講じることが重要である。
飛沫感染対策としてのマスク着用や咳エチケット、接触感染対策としての手洗いや手指衛生といった基本的な対策を徹底することが求められる。

■引用・参考
1)直近の新型コロナウイルス感染症および RS ウイルス感染症の状況(2021 年 4 月 9 日現在)国立感染症研究所
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【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和3(2021)年5月26日更新)